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「坪単価○○万円」には注意してください

住宅の工事費の目安を言い表すのに「坪単価○○万円」というのは、一般的によくつかわれている言い方ですが、これには十分に注意する必要があります。

どういうことかと言いますと、坪単価=工事費÷坪数 ですが、その「坪数」というものが、何を含んでいるのか、何を含んでいないのかということが、たいへん曖昧な場合が多いのです。

一般的には「坪数」とは、建物の「延床面積」のことを言います。そしてこの「延床面積」は、建築基準法によって定義づけられていて、室内部分の床面積のことを言い、外部空間であるポーチ、バルコニー、テラスなどは含んでいません。また内部の吹抜けも床が無いのですから含まず、また屋根裏収納やロフトなども一定の規模以下のものは含みません。普通はこの建築基準法上の「延床面積」が「坪数」なわけです。

ところが先日、あるハウスメーカーの広告を見ていましたら、「坪単価○○万円」というキャッチフレーズのその脇に、次の文言が小さく書かれていました。

「この坪単価は施工面積115.71?(35坪)以上からの本体工事価格となります。本体工事価格は施工面積を基に算出しています。施工面積は延べ床、ポーチ、バルコニー、テラス、内部吹抜け、ポーチ階段、外部ふかし壁を含みます。地盤調査(調査結果により地盤補強工事が発生する場合があります)、門塀工事、屋外電気配線工事、屋外給排水工事、下水道接続工事、雨水排水工事、家具、電化製品、その他の諸費用等はふくまれていません。」

つまりこのハウスメーカーの「坪数」は、一般的な「延床面積」には含まれない部分も多く含んでいるわけです。

つまり、坪単価=工事費÷坪数 という算式の「坪数」が大きくなるのですから、工事費が同じであっても「坪単価」としては見掛け上、小さくなることになります。

それでは、どれくらい小さくなるのかを、私が実際に、ある地方都市に建てた(設計・監理した)住宅を例に、検証してみましょう。

その住宅の各部分の面積データは下記のとおりです。
(1)1階室内部分床面積 20.0坪
(2)2階室内部分床面積 18.2坪
(3)屋根裏収納床面積   2.3坪
(4)ポーチとポーチ階段  2.8坪
(5)バルコニー      4.9坪
(6)テラス        3.0坪
(7)内部吹抜け      2.8坪
(8)外部ふかし壁     0.5坪

この建物おいて、建築基準法上の「延床面積」は(1)と(2)だけですから、
38.2坪になります。
ところが、上記のハウスメーカーの「坪数」は、(1)から(8)まで、すべてを含みますから、
54.5坪となります。

この建物の本体工事費は、1530万円でしたから、一般的な「延床面積」によって計算した坪単価は、
1530÷38.2=40.0万円になります。

一方、ハウスメーカーの「坪数」によって計算しますと、坪単価は
1530÷54.5=28.1万円になってしまうのです。

実際には普通の価格であって、すこしも安いわけではなくても、いかにも“安い”“お買い得だ”という印象を与えることになります。
(しかもこのハウスメーカーは「屋外電気配線工事、屋外給排水工事、下水道接続工事、雨水排水工事」などを、本体工事費から外していますが、これらの工事なしには居住することができないのですから、別途お金が必ず必要となってきます。)

ここに坪単価による表示のトリックがあり、落し穴があります。
こういったことに気付かず、あいまいなまま契約してしまいますと、あとで重大な齟齬を生じ、深刻なトラブルの元になってしまいます。
この落し穴にはまらないようにするためには、単純な坪単価による表記に惑わされず、実際に必要な費用をきちんと算出することが大切です。
その点に、十分注意をしていただきたいと思います。

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